腎臓機能低下を防ぐ食事療法。

「食べて元気。食べて治す。ー実践・食事療法ー」第236回

日本の全人口に占める透析患者数の割合は、
およそ440人に1人と言います。

うち糖尿病が原因となり透析をしている患者は
全体の3人に1人以上。

透析を始める原因となった疾患(原疾患)の第1位は
糖尿病腎症というわけです。

糖尿病性腎症(じんしょう)というのは
簡単に言うと、高血糖状態が続くことにより、
腎臓の機能が損なわれてしまう病気です。

腎臓は老廃物を、ろ過する働きがあります。
老廃物は尿として体外に排出されていきます。

しかし、糖尿によって腎臓が影響を受けると、
この機能が弱り、尿をつくれなくなってしまいます。

そうすると、人工透析という形で、
尿を外に出す必要が生じてきます。

人工透析は、大体週に3日ほど病院に通い、
数時間横になりながら、
体から溜まっている尿を抜き取る治療です。

週に3日、数時間の治療はかなり負担になりますし、
仕事や日常の生活にも影響が出てきてしまいます。

これは、なんとしても避けたいですね。
そのためには、
まず糖尿病にならない食事療法を実施することです。

食べてわるいというものはありませんが、
厳守しなければならないのは、過食、偏食です。

標準体重を維持するためには
必要最少の量を守り太り過ぎないことです。

栄養のバランスを考えて偏らずに食べることです。

日本腎臓学会では
透析患者に対しは、よりきびしい食事制限を指示しています。

たとえば、炭水化物、たんぱく質、脂質の摂取については
三大栄養素の比率配分を適正にすることが重要だと言います。

炭水化物50~70%、
たんぱく質12~18%、
脂質20~25%。

摂取した炭水化物は
体内で主にエネルギー源となります。

蛋白質は体内で主に組織や臓器となります。
脂質は三大栄養素の中では最も大きなエネルギー源となります。

透析患者にとって
もっとも重要なのは食塩・水分の摂取量です。

塩分は極力抑えることが望ましく
食塩、水分は制限すればするほどいいと言います。

カリウムの摂取も重要です。
腎不全では血清のカリウム値が上昇しやすく、
重大な不整脈などを引き起こすことがあります。

カリウムはいも類、野菜、果物、海草などに
多く含まれています。

蛋白質食品である魚、肉類、乳製品にも
多く含まれていますので注意が必要です。

腎臓機能の低下を防ぐためには
とくに腎臓に負担がかかる「たんぱく質」の制限。

エネルギーは1800~2000カロリー。
塩分の制限、水分の制限、カリウムの制限があります。

自然医学で有名な森下敬一医学博士は
腎臓機能の低下を防ぐことが出来るのは
「雑穀玄米ごはん」と言っています。

おかずはゴボウのきんぴら、
薄あげと千切り大根の煮物。

それに、わかめのみそ汁を指示されています。

おかずは極力
「温野菜」を使った料理を心がけます。
  
塩には、とくに心を配ってください。
決して精製塩を使ってはいけません。

精製塩は腎臓の機能を低下させます。

食品添加物を含んだものは取らないよう
気をつけます。

生野菜や果物も控えてください。

主食の「雑穀玄米ごはん」ですが
玄米…6  小豆…2  
ここにハトムギ、黒豆、あわなどの雑穀を加えてつくります。

利尿作用が働き、腎臓病の改善に役立ちます。

みそ汁は、わかめのみそ汁がおすすめですが
日替わりとして…

・キノコのみそ汁
   干ししいたけ…1枚
   きくらげ…5グラム
   麦みそ…15グラム
   豆みそ…15グラム
   自然塩…少々

干ししいたけは水2カップに浸してもどし
石づきをきりおとして千切りにします。

きくらげは湯でもどし
食べやすい大きさに切ってください。

干ししいたけのつけ汁に千切りにした
しいたけときくらげを煮てください。
煮たら2種類の味噌を溶き入れ
召し上がってください。

・ナメコの赤だし
   ナメコ…100グラム
   豆腐…3分の1丁
   みつば…少々
   だし汁…2カップ
   みそ(赤だし)…40グラム
   しょうゆ…少々

ナメコのヌメリを落とさないように
サッと水洗いして使います。

豆腐はさいの目に切ります。 
みつばは3センチくらいの長さに切っておきます。

昆布でだしをとります。
だし汁にみそを入れて煮立たせ、
しょうゆを加えます。

ここでナメコと豆腐を入れて
20秒くらいで火を止め、みつばを散らして
召し上がってください。

腎臓病の食生活は「雑穀玄米ごはん」と心得て
実行すれば体質が改善されるようです。

体質が改善できれば
透析を受けるような事態にはなりません。

日常の食生活の主食は
「雑穀玄米ごはん」と決めて
腎臓の機能低下を防いでください。

では、また来週。

腎臓病の食事療法。

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)と
科学技術振興機構(JST)は
ヒトiPS細胞(人工多能性肝細胞)から、
腎臓の細胞をつくることに成功したと発表しました。

マウスでは、いままでにも報告がありましたが
ヒトでは初めてです。

腎臓は構造や発生機構が複雑であると同時に、
老廃物の排泄や血圧の調節、
赤血球の合成促進など
生理学的に重要なさまざまな役割を果たしています。

それだけに「ヒトiPSから腎臓の細胞」のニュースは
腎臓病の治療薬開発や再生医療への応用が期待出来ると
世界の医療機関、研究者が注目しています。

詳しいことはわかりませんが発表では…

iPS細胞から、まず腎臓や卵巣、精巣の元になる
中間中胚葉という塊の細胞をつくり
さらに培養することで
血液から尿をこしとったり
そこから必要な水分を体に戻したりする
腎臓の5種類の細胞ができた…ということです。

腎臓は、いったん傷つくと
その機能を修復することはほとんどできません。

機能不全が進行すると
人工透析により命をつなぐことになります。

週に3回、4~5時間の人工透析を受け
命をつないでいる患者を
何人か知っていますが、それはそれは大変なこと。

したがって
傷んだ腎臓の一部をiPS細胞からつくった細胞で
補うことができるとなれば、どれほどの朗報か。

統計によりますと
日本の透析患者数は2011年12月現在で
30万人を超えています。

人工透析を受けている患者にとって
腎臓を再生するというニュースは
いますぐ、できなくても大きな希望です。

テレビのニュースで、ある透析患者は
「自分たちが生きている間は無理でも
 研究を続けていただいて
 これからの透析患者を救ってあげてほしい」
という声が紹介されていました。

一日も早く
ヒトiPSから腎臓の細胞が出来るよう
心から祈ります。

さて、血液をろ過する大切な腎臓病の治療には
食事療法は欠かせません。

血液中の塩分などの成分を正常に保ち
老廃物や有毒物質を
尿と一緒に排泄させたり、尿の量を調節して
体内の水分を一定に維持するためには
タンパク質と塩分制限がなにより重要です。

食事療法では
・タンパク質をとると腎臓に負担がかかりますので
 タンパク質は1日30~50グラム以内に制限します。

・エネルギー量は、少ないタンパク質を効率よくするために
 高エネルギーが必要と考え1800~2000カロリーを
 目安にします。

・塩分は1日5グラムが目安。
 むくみがある場合、高血圧時はさらに塩分を控えます。

・水分は制限します。
 尿量が少なくなったら水分をとりますが、
 とり過ぎないように注意します。
 野菜、果物は控えめに。

・カリウムを制限します。
 腎機能の低下によって高カリウム血症になる可能性があります。
 ミカン、バナナ類は控えます。

食事療法では、むくみがあるときは
「あずき」を食べるようすすめています。

あずきには、すぐれた利尿作用があります。
むくみが強いときは
あずきの煎じ汁を飲んでください。

日常的に、あずき粥を主食として食べると効果的です。

いまは、季節外れですが「すいか」は
腎臓の機能を活発にして、尿毒症を防ぐ効果があります。

利尿作用があって、腎臓病の薬になるといわれているのが
「トウモロコシのヒゲの部分」の煎じ汁。

尿の出がわるく、むくみがあるときに効きます。

煎じて飲んで効くのは
ハトムギ、オオバコなどです。

いずれにせよ腎臓は血液をろ過する大切な臓器。
腎臓病にならないよう気をつけてください。

では、また…