貴重な体験をしてきた。

(以下もグロイ写真はないのでご安心を)
ここでは銃をもって猪を狙うのではなく
事前に仕掛けておいた罠を確認しに行くのである。
冬の3ヶ月間だけ解禁になり、許認可を得た猟師が手作りの罠を仕掛ける。
罠の数の制限もあり、しっかり守っているので自然の秩序は保たれる。
私を案内してくれた和さんはサトウキビ刈も取り仕切っているため
週に一度だけ見回りをしており、ちょうどタイミングよく同行ができた。
前々日の夕食の際に、猪の話題になった。
友人の紹介ということもあり、猪狩りにお誘いいただいた。
私は食に関わる仕事をしていることもあり、とても興味がある。
その反面、基本的にお肉はたまに小魚を食べる程度の生活をしているので
動物の殺生にわざわざ接したくない気持ちもあった。
中学生の頃、興味本位で蛇を捕まえて食べたこともあった私は
この時も、やはり興味関心が勝ってしまった。
そして当日
15時にサトウキビ畑で待ち合わせをして
車で山の方に分け入ること数分。
下車後はジャングルの中を分け入り水辺まで下る。
そこからはボートで川を上流へ。

和さんは農業からボートの操縦、猟師までなんでもできる。
ウッキン(ウコン)堀りが一番幸せらしい。
銃はない。武器はナタ?

人の気配の全くない、奥地へと移動。
目指す山が見えてきた!
どんどん非日常へいざなわれワクワク感が高まる。
ボートをマングローブの森の木につなぎ留め
そこから山に分け入っていく。

寡黙な狩人たちは多くを語らない。
和さんは、登山の序盤で一本の木を握り
「これでどうだ?しっくりくるか?」と私にその木を握らす。
私「はい」
すると、パートナーのヒロさんが
リュックにぶら下がっているノコギリを出し
手際よく1メートルの棒にして切り出す。
元庭師だけあって、見事な手際の良さに感動。かっこいい。
私「・・・?」
そして手渡された。
どうやらこれで自分の身を守れということらしい。
そう、いつ猪などが飛び出してくるかもしれない。
彼らは枝打ちを兼ねてナタを常に出して歩いている。
私は素手だったので
【ヒノキの棒を手に入れた♪】
という状態になったのである。
(素材はもちろんヒノキではない)

意外とずっしりと重たい。
そのための木とわかってればもう少し持ち運びに適した細いのが良かった・・・。
いや、でも細すぎると振り回せても猪に負ける・・・・。
などと妄想をしながら、猪との命のやり取りという実感が湧いてくる。
罠を仕掛けているエリアが近づいてきた。
唯一の説明は、罠の認識確認方法のみ。
ヒロさん「私が罠ですと言ったら、『はい』と言ってください」
私「はい」「・・・?」
しばらくすると意味がわかった。
我々が歩いている道中にたくさん罠が仕掛けられているのだ。
なのでヒロさんが罠をまたぎながら「罠です」とありかを示す。
そして私はその罠を確認できた合図として「はい」と応える。
ヒロさんはその声を確認し先へと進み続けるのである。

罠の細かい仕組みは公開できないが
ワイヤー以外は全て地元の自然素材で手作りされた素晴らしい仕組みである。
私のヒノキの棒が指し示す、二本の置き枝の間を踏むと
罠が跳ね上がり足が木に吊るされる仕組みである。
一個一個と罠を確認しながら山奥へと進む。
罠のすぐ横を猪が掘り返した形跡がある。
確かに猪はいる。
さらに進むと、
ガサガサ
と音がなり前を行く二人に緊張が走る。
私は待機し、先頭の和さんがナタを持ち確認しに行く。
残念っ!鳥だった。
一同、安堵と落胆。
そうこうしているうちに最後の罠も過ぎ
結局この日はボウズであった。
この日は猪を担いで山を下りるという体験はできなかった。
残念さ半分「ほっ」とした半分の複雑な心境だったが
とても満たされた満足感はあった。
そもそもジャングルの道なき奥地をトレッキングできただけでも最高の体験である。
しかも、通常の観光や遊園地のアトラクションとはちがう
ドキドキやワクワク感を体験することができた。
リアルな命の存在を想像する機会はめったに味わえない。
どうやらワンシーズン9頭の捕獲が平均らしい。
つまり月に3頭ほど捕獲できる計算である。
獲得事例を見たい人はweb上に、こんな↓体験レポートがあったよ。http://jaima.net/modules/readings/index.php?content_id=226
帰りのボートの中、心の中で二人の狩人に謝った。
非科学的な話だが、二人の猪を食べたい気持ちより
私の猪を殺したくない気持ちが1対2なのに勝ってしまった気がしたからだ。
その夜、その話を妻にしたら
妻は屠殺を見たくなかったらしく、私以上に
猪を殺したくないとねがっていたらしい。
(2対2になってたのか!)
そんな訳で
自分が山から担いで帰り、さばきたての
野生の猪の肉を刺身で食べることはお預けとなった。
しかし、先週仕留めたという猪をご馳走になりました。
猪さんに感謝!

バラ肉の脂身の部分も全く臭みがなく
さっぱりとしていて食べやすく且つ濃厚なおいしい味である。
猪肉の概念が変わった!
「西表島の猪は、豊富などんぐりなどを食べているので
イベリコ豚のようなものだ」だそうだ。
猪さん、農家民宿ゆうわむらの皆様
ヒロさん、宿を紹介してくれた愛ちゃん
本当にありがとうございました。
多謝!
以下、おまけ
【食事療法士辻野の肉食に対する考え方】
私は豚や牛、鳥などのいわゆる「お肉」はごくたまにいただくだけ。
我が家では冷蔵庫にも冷凍庫にも
小魚や干物はたまに見るが、お肉はもちろん卵すらない。
結婚して5年になるが、
実家の両親が持ち込んだりした数度見かけただけである。
お肉を食べない人は大きく3種類
?宗教的な理由
?動物愛護的な理由
?健康保全的な理由
私の場合は?である。(若干?もある)
食養生ではお肉禁止ではなく
控えめが良いとしている。
どれくらい控えめかというと
お肉や魚、卵などの動物性のものが全体の1/8程度が最適としいる。
(穀物:野菜:肉魚=5:2:1)
また、海に囲まれた島国に住む日本人は
昔から魚を食べてきているので、この1/8は魚中心が良い。
極たまにしかお肉を食べないのなら
その時は最高に良いお肉を食べたい。
この良いお肉の基準は一般的な基準とは異なる。
食養生的には健康的な環境で育った牛や豚の肉が良い。
食養生に反する環境で育った、不健康な動物のお肉である
霜降り肉や最高級の特Aランクのお肉は可能な限り避けたいものになる。
では食養生にかなう環境で育ったお肉とは!!!
そう、野生の動物となる。
つまり、人工的なストレスが無く、太陽を浴び新鮮な空気を吸い
きれいな水を飲み、自然の木の実などを食べて生きている野生の猪などは最高となる。
というわけで今回は猪の命に感謝をしていただいた。
ありがとう。
「70%健康マガジン」でもお肉の話題は何度かあったような気がする。
気になる人はバックナンバーをご覧ください。
(3.11以降更新さてていません。)
http://magazine.soragroup.jp/?eid=590174#sequel