「モンスター食品」が世界を食いつくす!遺伝子組み換えテクノロジーがもたらす悪夢 船瀬俊介イースト・プレス 2013年3月21日第1刷発行
遺伝子組み換えの現状と恐るべき実態が紹介されている。
「牛肉を食べた赤ちゃんの乳房がふくらむ!」など
衝撃的な見出しと内容が盛り沢山なのも興味深いが
私が一番衝撃だったの下記の内容だ。
「データねつ造、隠蔽―政府をあやつり日本進出」
との見出しに続く内容だ。
(以下[ ]内は同書より、ちょっと長いが一部分を引用)
[モンサント社の日本進出の手口も悪質きわまりない。わが国ではすでに八つの作物(一六九品種)の遺伝子組み換え作物の流通が承認されている。それらは厚生省(当時)の食品衛生調査会とおう諮問機関が“安全性”を確認、そのうえで政府の承認が下された。
ところが、その“安全性”の根拠となる資料は、どこから出たのか?なんと、モンサント社が提出したものなのである。決定的な論理矛盾だ。自社に不利なデータなど出すはずがない。そんなことは赤子でもわかるではないか。
その資料は日本食品衛生協会という組織によって“開示”されている。
…公衆衛生学博士で健康情報研究センター代表の里見宏氏は…遺伝子組み換えトウモロコシについて、重大な発見をした。なんと、天然のトウモロコシに比べて、遺伝子組み換えトウモロコシは「八種類のアミノ酸について有意差があった」と英文資料に記述されていたのだ」つまりこれは、天然トウモロコシと遺伝子組み換えトウモロコシは“成分が異なる”という決定的な証拠だ。この発見によって、業界が主張する「成分が同じだから危険性はない」という論法は根底から崩壊する。
ところが日本政府は、姑息な不正を行なっていた。なんと日本語訳は、「有意差はなかった」と記載されていたのだ。これでは原文とは真逆である。そう、彼らは、英文資料を翻訳するときに、悪質な“ねつ造”を行ったのだ!
もとの英文資料には、さらに重大な記述があった。…遺伝子組み換えトウモロコシの成分を調べたところ、「ヒスチジンが増加していた」という。ヒスチジンとはアミノ酸の一種だ。口から入ると体内の酵素で分解される。そして“ヒスタミン”というアレルゲン(アレルギー原因物質)に変化する。…
一九九七年、このねつ造事件は公となり、社会問題となった。ところが、食品衛生調査会の寺田雅昭氏は「栄養学的に問題なし」「誤訳についてはモンサントに注意した」と弁明するのみで問題にすらしようとしなかった。]
この成分に有意差があったか、なかったか
これって、結構重要で日本の遺伝子組換えの安全性を主張する根拠として
「栄養成分(タンパク質)に相違点がないから」というのが
科学的根拠となっているようだ。
本来、栄養成分として違いがなくても、遺伝子を組み替えた作物を
食べた場合どうなるのかを検証すべきである。
遺伝子レベルで操作しているのに、タンパク質で判断してどうすんの?
原生林の山も、杉だけが植林された山も、緑の山としては同じかもしれないが
その山に行かされる生態系をみると生物多様性などの観点からも
全く別物である。そんな山ではもう、熊は住めない。
成分に有意差があったというのは、この例でいうと
もはや植物が存在しない砂山でしたぐらいの衝撃である。
熊どころかゴキブリでら苦戦するだろう。。
成分の相違ぐらいでしか判断していないこと自体が
ちゃんちゃらおかしく、防波堤の役割を果たせているのか疑問だ。
〈厳密には、「目的外のタンパク質を作りだす塩基配列(オープンリーディングフレーム)が含まれていないことなどを確認し、新たな有害物質が作られていないことも確認している。」〉
それはさておき、その唯一の防波堤すらザルだったとは
一体、何のチェック機能になっていたんでしょうか。
この本を読んだ後、現状はどうなっているのか
厚生労働省のホームページ上の資料(PDF「遺伝子組換え食品Q&A」)
を久しぶりに読み返してみた。
「遺伝子を組み換えることで新しくできた物質などについて、明確な安全性を示す根拠がない場合には、必要に応じて急性毒性試験などの毒性試験が必要とされています。」
つまり、上記のねつ造をすれば、簡単にパスできる。
また、読み方によっては、成分に有意差があっても
評価機関(食品安全委員会)が必要なしと判断すれは急性毒性試験すら
パスするようになっているのだろうか?
さらに、急性毒性試験をしてれば慢性毒性などに関する試験は必要がない
といった記載が続いている。
厚生労働省は日本国民の安全より
遺伝子組み換えを導入したい企業を優先しているように感じる。
野菜は宅配野菜だと安心していても
たまたまいただいたお菓子が
遺伝子組み換えトウモロコシ由来の甘味料かもしれない。
買った弁当にも遺伝子組み換えナタネから作られた油で
揚げたおかずが入っている。
これは、今や当たり前の時代である。
今更ではあるが
この本を読んで再確認したことがある。
我々各自が選ぶ能力を身につけなければならない時代になった
それは、夕食の買い物時もそうだが
外食の店選びから、手土産の購入、そして政治家も。
先ずは、この本を読んでみてください。
とてもおもしろいです。
もしくは、一旦こちらを観てみましょう↓
著者の船瀬さん自身が動画でこの本を紹介しています。
http://www.youtube.com/watch?v=wuxgAInALD0
おまけ引用
[
欠陥だらけ、穴だらけの“安全性審査"
…現在、国際的に行われている遺伝子組換え食品の“安全性審査”があまりにずさんであることが挙げられる。
?審査を「開発者」が行なっている―テストの解答を自分で採点!
?審査は「任意」である―やらなくてもOK、法律による強制力もない
?許可は「申請者」の提出書類のみで決定―不利なデータを出すはずもない
?遺伝子組み換え作物の「摂取試験」は免除されている―安全性の証明なし
?行われるのは「急性毒」判定のみ―長期的な“慢性毒”判定は免除
はたしてこんな審査で、"安全性"をたしかめることができるのだろうか?]