なにもやる気がでない。
今日は誰とも接したくないなぁ。
など、自分が鬱なのかもと
感じた経験のある人は、わりと多いのでは。
鬱病(ウツビョウ)
原因は多々あるだろうが、今のところ不明とされており
多くの人が長く悩まされる現代病である。
1999年に約44.1万人だったウツ病患者が2008年には約104.1万人と約2.4倍と激増している。
ウツ病の生涯有病率6.7パーセントという研究結果もあるようだ。(※1)
自分が病気だとは認めたくなく
気合が足りないだけだと、病院に行かずにいる潜在的な鬱病患者や
病気と診断されないウツ状態になる人を含めるともっと多い。
2013年度からの医療計画では
がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾患に
新たに精神疾患が加わっている。
しかも精神疾患の患者数は323万人。
4大疾患で最も患者数が多かった糖尿病(約237万人)を
大きく上回り、がん(約152万人)の2倍に上る。
そんなウツだが
食養生的には解消が簡単な場合もある。
その方法は「太陽食」である。
(太陽食に興味のある方はコチラ)
そもそも電気の発明以降、人間の生活リズムが激変し続けている。
本来寝ている時間にでも明るい室内でTVやPCの光を浴びる不自然さは
確実に人間の生命現象に影響を与える。
これを逆に利用して
光でニワトリの体内カレンダー(※2)を狂わせ
春の繁殖期以外でも卵を産み続けさせることができる。
電気のないころは当たり前だったのだが
現代は意図的に食養生をした方がいい時代になった。
先に結論をいうと、これである。
「毎日、日の出とともに起き太陽を浴び
規則正しい生活のリズムを取り戻すこと」である。

体内時計(※3)の研究で世界をリードしている
日本が誇るシステム生物学の若き天才がいる。
上田泰己東京大学大学院医学系研究科教授である。

上田教授は
真夜中の強い光が体内時計を狂わせるメカニズムの解明や
春の到来を感知して発現するホルモンの特定などの研究で世界を驚かせてきた。
体内時計というと
お腹が「ぐ〜」と鳴る腹時計は有名である。
実はお腹だけではなく
皮膚とか、脳とか、心臓や血管、体のありとあらゆる場所に
「時計細胞(※4)」というものがある。
生き物がいつ起きるか、いつ食べるかという時間をつかさどる細胞である。
余談だが
なぜか一箇所だけ時計細胞が発見できなかったそうだ。
その場所とは
精巣、つまり金玉である。
時間にとらわれない自由な存在ということなのか。
さて、本題に戻ろう。
脳の視交叉上核が時計細胞の親玉として存在しており
体中の時計細胞と通信して、バラバラにならずに同じ時を刻んでいる。
面白いことに
皮膚と胃では働きが全く違うのに
時計の速さは一定である。
また、謎が存在している。
時計細胞だけが物理の法則に従わないというのである。
時計細胞の不思議なのは、温度が変わっても
時計の進み方自体も一定だということである。
例えば細胞の分裂は、温度が10度上がると速さは2倍になる。
でも体内時計はまったく速くならない。
既存の物理学の根底が間違っていたのだろうか
それとも、まだ解明されていない生命の神秘があるとうことなのか。
上田教授は医学部出身ということもあり
体内時計というひとつの切り口から
ウツ病をはじめとした気分の病気に光を当てられたらと思っているそうだ。
通常のウツ病治療としては
「十分な休養」と「薬による治療」の二本柱が主流だろうか。
食養生の視点から、これが問題である。
先ず、「十分な休養」と言われると
多くの人が仕事を休み、睡眠過剰で寝起きのリズムを崩す。
また、「薬による治療」は
セロトニンやドーパミンといった脳内の神経伝達物質に作用する
抗ウツ剤を処方する。
つまりどちらも、対症療法が中心で
根本解決とは程遠い。
体内時計を整えるという観点が希薄なのではないだろうか。
例えば、システム生物学的には真夜中に強い光を浴びると
体内時計が止まることがわかっている。
ウツの人が先ずやるべきは
夜の寝ている時間帯は電気を消し暗くして
日の出とともに目覚め朝日を浴びることである。
また、重要なのは
朝起きるのが辛かろうがなんだろうが
毎日、規則正しく早起きして
生活のリズムを作ることが必須である。
十分な休養として眠りたいのなら
太陽食の観点を加味した上で早く就寝すべきである。
家族などの周囲の人間は
ウツ病という立派な病名がつくと
朝でも、寝かし続けねばと勘違いしてしまう。
これが逆に体内時計を狂わせ
病状を悪化させていることもある。
本来、予防が大切なので
ウツ病などにならないように
日頃から規則正しい生活をしておきたい。
平日は6時起きていても
休日は昼間で寝ているという人は要注意である。
太陽食の基本は毎日規則正しくである。
この「毎日」というのが重要である。
体内時計には休日という概念はない。
認知症は砂糖の摂り過ぎもあるが
(これはまた話が長くなるのでまた別の機会に)
その他精神疾患も、この体内時計を取り戻すことで
解決するものの多いのではないだろうか。
※1:厚生労働省のHP及びwikipediaより引用
最新では2011年の調査があるが東日本大震災の影響で福島県と宮城県の一部地域が含まれていないため比較しにくい。
生涯のうちにうつ病にかかる可能性については、川上によれば3〜16%である。
日本では、水野らによれば12ヶ月有病率は3.1パーセント、川上によれば生涯有病率6.7パーセントとされている。
これらの研究結果から、ある時点ではだいたい50人から35人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると考えられている。
※2体内カレンダー
生き物が刻むリズムは、一日24時間の「体内時計」のほかに、一年365日の「体内カレンダー」がある。動物が春に繁殖をはじめたり、植物が秋に実をつけるといった年間のスケジュールをつかさどるのが、体内カレンダーだ。
季節の変化は、体内時計と日長(一日の日照時間)の組み合わせで知覚される。日長が以前より長くなると、それを体内時計が感じて春が訪れたことを、日長が以前より短くなると秋が到来したことを知るのだ。
ある季節にしか卵を産まないニワトリの先祖は他の多くの鳥と同じく、春先に数個の卵を産み育てていたと考えられる。温めていた卵がなくなると再び卵を産む性質強化選択し、産卵シーズンに卵を産みつづけるように品種改良したのが現在のニワトリである。改良されたニワトリも春の繁殖期にしか産卵しないが、養鶏場では日照時間を調整し、つねに春の状態を維持することで、ほぼ毎日ニワトリに卵を産ませている。
※3:体内時計
地球はおよそ24時間で一回転する。この動きが生み出すのが、昼夜のリズム。体の中にはこのリズムを手がかりに時を刻む能力が備わっている。体内時計は日光を浴びることでリセットされ、地球とシンクロするのだ。
睡眠や覚醒以外の生理現象も、この体内時計によって、いつ起こるかがほぼ決まっている。たとえば、血中コレステロール値が最も高くなるのは午後一時頃、血圧や体温が高くなるのは午後4時頃だ。体内時計が正確に働くからこそ、わたしたちの体は健康を保つことができる。体内時計の乱れは、睡眠障害やウツ状態、ホルモンの分泌異常などを引き起こすと考えられている。
※4:時計細胞
体内時計を構成する細胞のこと。動物は脳や肝臓をはじめとして体の各所に時計細胞を持っている。脳の時計細胞を中枢時計、その他の時計細胞を抹消時計と呼ぶこともある。抹消時計にくらべて中枢時計は非常に正確である。
[爆笑問題のニッポンの教養「体内時計」はいま何時?太田光、田中裕二、上田泰己 著 株式会社講談社]より一部引用